
弓場 徹 氏 ( 三重大学教育学部教授、 発声研究家、声楽家(テノール) )
は声について次のように言っておられます。
大いに参考になるとともに、反省材料にもなります。 ご参考まで。
1. 声と精神、思考、感情
声を出すとは、自分の精神や思考、感情を相手に伝える行為です。
だから、私は究極的には、心が病んでいる人を、声帯を震わすこの波動でもって、
わっと一気に元気にしたいな、と思っています。
声を研究してきての大きな疑問は、なぜ頭と体の間に、声帯という振動帯がるのか
ということ。 考えてみれば不思議です。
精神と肉体が交流する部分から波動が生まれるわけですから。
誰かが悲しんでいる。 その泣き声を人が聞くと「 かわいそう 」と感じるのは、精神
と肉体の間を震わせた音だからかもしれません。
そう思うと声の持つ不思議な力を感じます。
2. 言葉で心を伝える
「 こんにちは 」、「 ありがとう 」といったありきたりの言葉でも、ときに温かい気持ち
になれるのは、言葉を口にする人の嘘偽りのなさを感じるからだと思う。
昔の人は、自分の口から発する波動が人に影響を与えることを観察し言霊(ことだま)
を尊んだ野かもしれない。
3. 人の心に響く声
人の心に響く声になるには、まず抑揚のある声や相手に伝わる発音でしゃべっているか
どうかが大事です。
「 内容さえちゃんとしていれば、届くはずだから大丈夫 」と本人は思っていても、ボソ
ボソと話していたら伝わらないし、聞かされる人はストレスを感じます。
はっきりした声で、なおかつ適度なボリュームがあること。
声の明るさ、暗さも説得力を左右します。
4. 聞き手に理解しやすい話し方
情報量が多くても、フレーズを大きく取ることで、ゆったり聞かせる話し方はあります。
実はその方が同じ情報量であってもより少ない時間で伝えることができるのです。
文を切れ切れに発音するよりも、かたまりとして概念化するようにイントネーションを
話す方が、聞き手に理解しやすいからです。
たとえば、「 ・海は、 ・広いな、 ・大きい・な、 ・月が、 ・のぼるし、 ・日が、 沈・む 」
と棒読みで、( 「・」がついているところに )アクセントをつけて読むよりも、
「 ・海は広いな・大きいな、 ・月がのぼるし・日が沈む 」とある程度かたまりごとにアク
セントをつけてゆっくり読む方が分かりやすくて時間も早い。
5. ストレスは体を動かして解消
私の場合は、ストレスを感じる時は、体を動かしたり、鼻歌を歌ったりします。
そうするとだんだんノッて来ます。
やはり考えすぎると、動物的な感覚が鈍りますね。 落ち込んだ時は、あれこれ考える
より、飛び跳ねたり、バシンと手で顔を叩いたり、とにかく体を動かしてやると気持のきり
かえがうまくいきます。
* 日経ビジネス NB online 2008.12.18 より。