子規と柿と東大寺 3/5

「 帰りに奈良へ寄って其処から手紙をよこして、恩借の金子(きんす)は当地に於いて
正に遣い果たし候とか何とか書いてゐた。 恐らく一晩で遣ってしまったものであろう 」
( 談話 「正岡子規」 )
旅館の跡地には、いまは日本料理店「 天平倶楽部 」があり、その庭園の一部は
「 子規の庭 」と名づけられている。
誰でも自由に入れるが、入り口には、「 鹿侵入につき出入口は必ず扉を閉め、カギを
掛けて 」といった注意書きがある。
やはり今も昔も鹿天国の奈良らしい。
年末に行くと冬枯れで、ススキが風に揺れていた。
しかし、子規が見たという東大寺の瓦屋根はたしかに見えた。
柿を食べて聞いた鐘は、法隆寺ではなく東大寺のようだ。
「 東大寺よりも法隆寺のほうが言葉の響きがたおやかなので子規は変えたのでは
ないでしょうか 」
というのは正岡 明さん(64)。
正岡 明さんは造園業で樹木医。
子規の顕彰と研究が目的の「 正岡子規研究所 」も主宰している。
「 子規の庭 」の作庭も担当した。
「 子規が泊まった對山樓の跡地に柿の古木があり、子規に縁のある私が奈良に
住んでいて、樹木医もしているということで頼まれたんです 」
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