我が国独自の陶芸美 「 古伊賀 」 4

古伊賀の成形上の特徴は、まずざっと円筒形をを造りあげ、そこで終わらず手で歪めたり
板で押したりヘラで彫ったりして初めの形を打ち壊すことによって、新たな迫力のある形を
造りだしていることだ。
それを今度は窯の中で自然釉・火色・焦げなど変幻の「 景色 」を窯神様に委ねる。
胴がヒビ割れても口縁がカケてもそのままだ。
窯から出た作品ははあたかも自然物のような野放図な存在感を漂わせている。
と、見えるが、実は作り手がとことん土や窯の癖を知り、そのような自然な「 景色 」を
生みだすという極めて周到に計画されたやきものなのだ。
美を目指してこのような工程を経るやきものは世界に類を見ない。
その歪んだ形姿を見れば分かるとおり、古伊賀は当時一世を風靡した「 織部様式 」
の迫力ある造形の頂点を究めている。
本家の織部焼がおとなしく見えるほどだ。
これに加えて冒頭で述べた「 土への回帰 」、この日本独特の二つの流れが交錯した
地点に生まれたのが古伊賀だ。
日本陶芸の中で有田磁器を世界標準での中心とするならば、古伊賀はわが国が追求
した独創的な陶芸美の芯といえよう。
また陶芸という分野を超えて、私たち日本人の美意識の特質に光を当てる存在でもある。
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