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江戸風鈴(えどふうりん)

 金宝樹001.jpg

 「 売り声もなくて買い手の数あるは 音にしられる風鈴の徳 」

江戸の末に、こんな狂歌があったと教えてくれたのは、藍暖簾が清々しい篠原風鈴本舗

の篠原儀冶さん。

御年84歳、現役の風鈴職人だ。 数年前に病で倒れ、以来「最前線あら第一線になりました」

と笑うが、儀冶さんは多くに人が認める、ミスター江戸風鈴だ。

ガラス風鈴の存亡の危機を、知恵と努力で乗り切り、国内のみならず海外にもその存在を

広めた功労者なのである。

さて、先の狂歌だが、この歌から気付かされることがある。

江戸時代、さまざまな物売りが天秤棒を担いで商品を売り歩いた。

多くの物売りは、売り声で客を呼んだが、風鈴売りは、涼やかな風鈴の音がなによりの宣伝、

終始売り声を上げることはなかったという。

では、なぜ”徳”名のか。

「 風鈴はお寺の屋根の四隅にかかっている風鐸(ふうたく)が始まりで、鳴り音が厄除けだった

そうです。 それで、風鈴の音にも魔除けの力があると信じられていたんです。 」

だから、江戸時代は魔除けの色である赤で塗られたものが主流だった。

やがて、ガラスの涼感と音が好まれ夏の風物となったのだ。

( 中 掠)

風鈴の徳は、江戸も今も、霊験あらたかに違いない。

出典 : ひととき (株式会社ウェッジ 発行) 2009年7月号から。

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