なぜ山茶花は「サザンカ」か?

山茶花、いまこれをサザンカと言っているが、どうしてサンサカでないのか。
きかれて即答できるのはよほどの物知りだとしてよい。
だいたい山茶花という植物の正体もはっきりしなくて、古くから諸説がある。
「 山茶花は、実はつばきの花なれども、古来誤用し来たれり 」(「言泉」)、「 普通漢字で
山茶花と書くのが正しい 」(平凡社「俳句歳時記」)といった具合である。
ここでは、そんなことより、どうして山茶花がサザンカになるかが問題である。
これまではっきりした説明はないが、やはり、サンサカが音位転換によってサザンカとなった
とするのが妥当であろう。
ただ、サンのンとサカのサとが入れ替わったのだから、漢字を動かすことが出来ない。
中略
こうした音の入れ替えのことを音位転換(metathesis)と呼ぶ。
どこの国のことばにも見られる現象で、たとえば英語で、bird(鳥)という語はかって
bridであったののまん中の2字が入れ替わった。
同じようにthird(三番目)はthridの転換であり、wapsが変化してwasp(蜂)となった。
ほかにもhros→(hors)→horse(馬)、のような例がある。
日本語よりもさかんに音位転換が起こっているようである。
日本語は漢字を用いているために、なめらかに転換しにくいのかも知れない。
出典 : Associe 2009年3月17日号
外山滋比古氏の「 山茶花がなぜサザンカ? 」から。
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