新年の祝い箸

年初に雑煮やお節料理を食べる際に使うのが両端を細く削った白木の祝い箸(はし)だ。
無事に新年を迎えた感謝の気持ちを天に向かって表わす神聖なものだという。
正月を晴れやかに迎えられるように祝い箸について調べた。
祝い箸に使う木材はヤナギ、スギ、ヒノキの三種類。 なかでもヤナギが最上等。
最も木肌が白くて汚れのなさを感じさせ、立春後最初に芽吹き生命力が強いこと、折れ
にくく丈夫なことも好まれる。 「 家内喜(やなぎ) 」の当て字を見たことがあるだろう。
両端を細く削って中央部が丸く膨らんでおり「 両口箸 」や「 中太両細箸 」と呼ばれる。
一方は自分、もう一方は神様のため食べ物を分かち合えるように両端とも細くなっている。
膨らんだ形状は子供を授かったお腹の膨らみ、子孫繁栄を象徴するという。
白いもみ紙に水引つけた箸袋に「 寿 」、「 祝 」などと書き、家族の名前を記す。
正月三が日、七草がゆの七日まで使うたびに洗い、それぞれの箸袋に戻して使うのが
しきたりだ。 最近はえとを印刷したり色鮮やかな和紙を使ったり華やかな箸袋も楽しめる。
「 太陽を神として奉っていた日本人にとって、神の恵みである食べ物と人間の懸け橋になる
箸は神聖なものでした。 」と箸勝本店の山本社長は話す。
慶事に祝い箸を使い、感謝するのは天への畏怖(いふ)が根底にある。
毎日食事のたびに口に運ぶ箸には当人の魂がこもると考え、一年間使った箸は大みそかで
役目を終え、新年に新調してきたという。
他人に使われないように、昔は寺社の境内に埋めたり折って峠に捨てたりした。
現在では8月4日の「 はしの日 」に箸供養をする神社が各地にあり、年末年始に箸供養を
する神社もある。
* 日本経済新聞 2008年12月27日 号より。
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