釣りの思い出(3) 大島沖は川のよう

40歳台に約10年金目ダイの釣りをした。
天神丸という船に乗って午前1時から2時に伊東の港を出る。3時間くらいで大島沖に到着する。夜明け前から夜が明けてしばらくの釣りだ。1回の釣行で5~6回しか仕掛けを投入できない。水深は400~600メーターあり、道糸が1000メートル出たこともある。天神丸では大体せいぜい5~6人の釣り人。最初の頃はお客は私一人で、よく船頭と2人だった。船頭は寝るわけには行かないが、私は狭いキャビンで座って寝ていた。天神丸の船頭は人柄温厚でよく面倒をみてくれた。今は体調をくずして引退したと聞いている。
夜明け前に(大島沖に)「着いたよ。始めるから準備してください。」と言われると。右舷の船頭が支持する席に行き、ロッド・ホルダーをセットする。次オリンピックの太鼓型の電動リールをロッド・ホルダーにつける。ロッドとは竿のことで、ロッド・ホルダーとは竿を固定する道具だ。50センチくらいのわっかに20本針がついた仕掛けを電動リールから引き出した道糸につなぐ。仕掛けの先には鉄筋を30センチくらいに切ったおもりをつけている。船頭が「はいやって」というとみよし(船の先頭部分)の人がおもりを投入する。しばらく間をおいて、頃合いを見計らって「はい、次の人どうぞ。」で2番手がおもりを投入する。もたもたしているとその回は投入できないでパスということになる。この調子で次から次へおもりを投入する。大島沖は潮は川のように流れていて、あっという間に船は流される。船頭は流れに逆らって船を進め鮒が流されないようにしながら、おもりを投入させる。
おもりを投入しても竿先を注視していなければならない。おもりが海底に着いたら道糸がそれ以上出ないようにしなければならない。おもりが海底に着いても道糸を出しっぱなしにすると、「お祭り」と言って他人に仕掛けと絡んでやっかいなことになるので、人に迷惑をかけることになる。おもりが海底についたかどうかは竿先を見ていればわかる。一瞬糸の出が遅くなるのを見て判断する。おもりが海底に着くころには糸は500メートルから700メートルくらいは出ている。一番長く出た時は1000メートルだった。
そうこうするうちに金目が食いはじめる。金目が餌を食うと竿先がわずかにピクピクと動く。そうすると少し糸を送り込む(糸を出す)。他の金目が他の餌を食うとまた竿先がピクピクと動く。あの感触忘れられないね!20本の針に5匹のときもあれば10匹の時もある。一度など船頭が有馬さん、仕掛けをつないで50本針にしてみろというのでそうしてみた。金目が40匹くらい食っていた。もう24ボルトの電動リールがキーキーと悲鳴をあげる。こちらは悲鳴ではなく、大漁で顔がほころぶ。一度など1回の釣行で110匹も釣れて処分が大変だった。たまには良いことのマネをしてみようと老人ホームへ30匹、お年寄りに食べていただこうと思って持って行った。そしたら決められたところからしか買えない規則になっているといって断られた。残念だった。
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