会社生活(44). 酒が飯の代わり

数年前に亡くなられた鈴木正六(しょうろく)さんのことが思い出される。
この方も全U協の委員長をされていた。
私はこの方からサラリーマン道を教わった。
この方は福島県の小名浜ご出身で、身体は骨と皮だけのようにやせておられた。
ご自分で言っておられたが、ご飯はほとんど食べないで、代わりに日本酒を飲ま
れるという方だった。肴は簡素なものが多かったように記憶している。
午前中に鈴木さんのオフィス日本石油へお邪魔すると、昼食を付き合うことにな
って、筋向いの広島の酔心へ行く。
そこではビールになる。こちらが払おうとすると、俺はこれだけ予算を持っていて
使い切れない、とかいって私に払わせない。
IBMでは酒を飲んで社内に入ってはならない、とのルールがあるし、ご馳走に
なるのも困るので、昼過ぎにお邪魔するようにしていた。
ある時どうしても鈴木さんの自宅へお邪魔しなければならない用件ができて、
池袋・要町のご自宅へ(社宅)へ上司の渡邉さんとお邪魔した。
朝10時に来いとのことで、ご指示の時間に伺った。
座敷に通されて待っていると、「おい!」という鈴木さんの声がして、奥さんの
「はい」という声が聞こえて鈴木さんが丹前を着てお出ましになった。
しばらく話をしていると奥さんが小さな四角いお盆にお銚子1本と1つの小皿に
塩ウニそれにお猪口3つをのせて現れた。
まさか朝の10時に酒が出るとは思っていなかった。
お断りしたが、聞くようなかたでないことはよくわかっていたので、渡邉さんも
私もやむを得ず朝から酒を飲むことになった。
私は飲んでも顔に出ないので問題なかったが、渡邉さんは酒に弱く赤くなって
会社へは帰れない。やむを得ずパチンコ屋で酔いをさまそうということになり、
これまた朝からパチンコに付き合わされた。
鈴木さんは酒ばかり飲んでおられたが86歳まで生きられ、数年前鎌倉の自宅
で亡くなられた。ご冥福をお祈りいたします。ありがとうございました。
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