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子供時代(12).鶏とこども心

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戦後もののないころ、「たまご」はご馳走だった。
たまごは鶏が産む。鶏は、ひよこ→ひな→にわとり へと成長する。
したがって、たまごを食べるためには、ひよこを飼わねばならないが、ひよこは飼うのが
大変なので少し大きくなった「ひな」を買ってきて育てることになる。鶏小屋を魚のトロバ
コでこしらえ、米屋でぬかを買ってきて、大根葉など菜っ葉を刻んで米ぬかと混ぜて鶏
に食べさせる。こればかり食べさせていると、たまごの殻が柔らかくなるので、時々カキ
の殻を金槌で叩いて細かくして混ぜる。毎朝学校へ行く前にえさをやり、また学校から
帰ってきたらえさをやる。だんだん大きくなってやっとたまごを生み始める。すごくうれし
かった。飼う鶏の数はせいぜい5~6羽だが雌鶏ばかりでなく1羽だけ雄鶏を入れておく。
父が友達を連れてくると酒が始まる。酒には魚が要る。そこでせっかく私が育てた鶏を
スキヤキにして皆で食べる。私にも食べろ言われるが、肉を口に入れても、自分が育てた
生き物をとうてい食べる気になれずはきだした。肉というものは生き物を殺してすぐ食べる
と硬くておいしくないということもおぼえた。
大人は少年のうぶな心を傷つけた。その影響か高校生までは鶏は食べなかった。
今でも食べないことはないが、自分で食べたいとは思わない。
少年時代のうぶな心を大事にしたいものだ。

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